下部尿路症状を起こす感染性疾患
- 2025年2月25日
- 泌尿器疾患
今回は下部尿路症状を起こす感染性疾患についてお話しします。
膀胱の急性単純性炎症、いわゆる膀胱炎は、大腸菌をはじめとする細菌による感染が一般的です。膀胱粘膜に炎症が波及し、過敏状態となります。このため少量の尿が貯留しただけで頻尿となり、排尿痛をもたらします。尿は混濁し、肉眼的血尿も見られることがあります。尿道が短い女性で高頻度で発生します。一方で男性に発症することが多いのは前立腺炎で、膀胱炎と同様、尿道から感染することが多く、症状としては、会陰部の不快感や痛み、排尿時痛、頻尿、残尿感などがあり、発熱をきたす症例もあります。さらに悪化すると、前立腺が腫大することにより尿道を圧迫し、排尿困難感や尿閉をきたします。
膀胱の慢性複雑性炎症は、尿路に基礎疾患が併存する場合や、カテーテルを留置している場合に見られます。複数の菌による混合感染であり難治性ですが、発熱や痛みなど自覚症状のない感染であることも多く、必ずしも治療の必要がない症例もあります。当院にも感染性疾患をきたした患者様がご来院されますが、症状の経過や検査所見などから、原因を特定し、症状を軽減するための治療を行います。