前立腺癌の術後と排尿障害について
- 2025年3月10日
- 泌尿器疾患
前立腺癌に対する治療法の一つに前立腺全摘術がありますが、術後における合併症で最も頻度が高いものは尿失禁です。尿失禁を起こす以外に、下部尿路症状(頻尿や尿意切迫感、尿勢の低下、残尿感など)を来たすこともあります。いずれの症状も、患者さんの生活の質(QOL)を損なうものです。術後のそういった症状を起こすリスクとして、術前の前立腺の大きさがまず挙げられますが、他に肥満、糖尿病、動脈硬化なども関連していると考えられています。術後尿失禁に対する対策として、骨盤底筋体操が第一に挙げられます。これは患者さん自身が病院以外でできる理学療法であり、2024年5月のコラムでも取り上げています。そして飲水制限、カフェインやアルコールの摂取制限といった生活指導の他に、定時排尿や膀胱訓練が挙げられます。定時排尿とは、一定の間隔で排尿をするようにして尿失禁を軽減または予防する方法で、通常2〜4時間ごとに排尿します。膀胱訓練については、2024年4月のコラムをご参照ください。それでも改善が乏しい場合などは、薬物療法を併用することがあります。お悩みの方は当院までどうぞお気軽にご相談ください。