フレイルとは、加齢に伴う様々な臓器機能の変化や、予備能力の低下によって外的なストレスに対する脆弱性が亢進した状態であり、ストレスに対して十分な回復力を有する健常な状態と、自立した生活が困難となる要介護状態の、中間的な状態とされています。
フレイルの発症メカニズムについては、脳心血管疾患や生活習慣病などの基礎疾患、加齢に伴う臓器の予備能力の低下、栄養摂取不足や運動習慣の低下などが複合的に関与すると言われています。
フレイルの評価基準を下記に示します。
フレイル評価基準
下記5つのうち、3つ以上に該当するものをフレイル、1つまたは2つに該当するものをプレフレイル、いずれにも該当しないものを健常または頑健とする。
-
- 1 体重減少:6か月間で2~3kg 以上の(意図しない)体重減少があった
- 2 倦怠感:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
- 3 活動量:軽い運動・体操(農作業も含む)及び定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)をしていない
- 4 握力:(利き手における測定)男性26kg未満、女性18kg未満
- 5 歩行速度:1m/秒未満
「長寿医療研究開発費 平成26年度 総括報告書」
より改変・引用
フレイルの状態ですと、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院したりするなど、ストレスに弱い状態になっています。フレイルは自分の状況を知り、適切な対応をとることで、衰えの進行を遅らせたり、状況を改善したりすることも可能とされています。健康寿命を延ばして、いつまでも生き生きと暮らすには、フレイルを予防することが重要です。その方法としては、よく食べて栄養を摂ること、適度に運動をすること、趣味や教養、スポーツの会やボランティアといった活動に参加すること、などが挙げられます。
またフレイルと過活動膀胱には、密接な関連があると言われています。フレイルを有するご高齢の患者様では、過活動膀胱になるリスクも高いとする報告があります。過活動膀胱を治療することは、転倒リスクを減らすとも言われており、排尿症状の悩みがある場合には、できれば治療をした方が、より生活の質を上げることができると考えられます。