膀胱炎について③ 〜治療〜
- 2022年5月21日
- 泌尿器疾患
基本的に、数日間から1週間ほど抗生物質を内服していただきます。発熱を伴っている場合には、点滴治療を行うこともあります。
市販のお薬は、症状をある程度緩和することはできますが、今回お話ししている細菌が原因の急性膀胱炎に対しては、根本的な治療になり得ません。泌尿器科専門医の診断のもと、目的の菌を標的にした抗生物質を、必要な量、必要な期間、しっかりと投与することが重要です。
なお、初診時に尿培養検査を行いますが、この結果が出るまでには、検査後概ね1週間程度かかります。この検査は抗生物質の有効性を判断する上で重要なもので、検査結果をもとに治療の再検討が必要となることがあります。
一般的な細菌性の膀胱炎に対して抗生物質を内服する場合、お薬によるアレルギー反応などが出なければ、処方されたお薬をしっかり飲み切ってください。また、症状が改善する頃に再度受診してください。尿検査で尿がきれいになっているかを確認するとともに、前回受診時に行った尿培養検査の結果をもとに、必要に応じて治療を継続することがあります。耐性菌が検出された場合、尿がまだきれいになっていない場合、患者さんのご年齢や基礎疾患、自覚症状の改善具合など、様々な要素を加味して、治療の必要性や終了時期について検討します。
膀胱炎が治り切らずに治療を中断すると、症状が再燃してしまう恐れがあります。さらに、再燃した膀胱炎の原因菌には今までの抗生物質が効かなくなり、より強い抗生物質を投与しなければならなくなることがあります。
膀胱炎を繰り返す、この間治ったばかりなのにまたなった、といった場合には、きちんと治りきっていない可能性があります。また、膀胱機能の異常、膀胱のがん、難病に指定されている間質性膀胱炎など、細菌感染以外の可能性を考える必要があります。
そのような患者さんは、速やかに泌尿器科専門医を受診して、専門的な診察、検査を受けることが重要です。